シルクロード・アンサンブル

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エンチャントメント~魅惑の響き
NHKスペシャル「新シルクロード」
オリジナル・サウンドトラック


5月8日(日) ETV特集
ヨーヨー・マとシルクロード・アンサンブルの仲間たち
~対話と創造の8日間~


越境する音楽家、ヨーヨー・マが編成した
シルクロード・アンサンブルのドキュメンタリーをNHKで観た。



今回のヨーヨー・マのシルクロード・アプローチは、
参加する演奏家が自身の音楽への意識を掘り下げ、
ヨーヨー・マや他の演奏家と対話~セッションすることから楽曲をつくる。
そんなことが8日間行われた。
広い中国から参加した二人の演奏家は、
それぞれ中国・新疆ウイグル自治区と敦煌とエリアは違い、
カザフ族に伝わるラブソングと、壁画に描かれていた古代の曲をとりあげた。
インドのタブラー演奏家は、口頭での伝承芸能に鍛えられた聴覚。
イラン出身のクルド人は、永々と繰り返される蔓草(つるくさ)の
ペルシャ模様とペルシャ音楽に通底する、
旺盛な生命力への人々の憧れを再認識し、
アルメニア人は音楽と大地のつながりからあふれる倫理観を吐露する。

ヨーヨー・マが導きだし、対話することで
違う音楽、異文化がシルクロードの歴史のなかで
つながっていることを証してくれた。
国としてのあり方の前に、
地域それぞれの文化を体現する演奏家たちのもつ無意識の文化性を、
ヨーヨー・マはシルクロード・アンサンブルのなかに
練り込もうとしているのが画面からよく伝わってきた。
グローバルとかナショナリズムとかいろんな概念で
世界をとらえようとする以前に、
シルクロードを東西文化の交流モデルとして題材にし、
21世紀型のシルクロード的音楽交流を図るヨーヨー・マの姿は、
異文化コミュニケーションによる可能性に光をあてるものに映った。

ヨーヨー・マが呼び寄せた演奏家は、中国、インド、イラン(クルド)、
アルメニア、日本など、過去の歴史と現在のあり方を
問われている国ばかり。
学術的には民族楽器の伝播や類似性、
そして音楽への反射の形で解明されてはいるが、
シルクロードのなかにない「アメリカ」の一部であるヨーヨー・マの興味は、
現代の日本人が「日本」を考え直すにもいい機会と感じた。

生まれも育ちも違うひととひとが出会う。
交流することで伝えられていくものがあり、
伝えられたひとのもつ文化と混ざり合うことでオリジナルが変化し、
新しいものが生まれていく連続性の世界観。
ほんとうに刺激的なアプローチだ。

80年代にブルガリアン・ヴォイスが流行ったが、
ぼくはその前に、芸能山城組がやっていた活動で知っていた。
ブルガリアで土地の収穫を祝うとか豊作を祈る音楽として
紹介された曲にこころを打たれた。
また、テリー・ライリーなどで有名な
ミニマル・ミュージックと言われる反復音楽からは、
日本の声明(しょうみょう)の美しさを教えてもらった。
ぼくのなかで音楽が、異文化交流のシルクロードだった。
小学校2年の1970年、千里万博では
日本と違う「世界」という存在に気づかされたり、
カーペンターズで英語の歌にはまったりして、
子供の頃から音楽は、ぼくをいろんな世界に連れていってくれる。
高校生の頃ならブライアン・イーノがその最たる存在だった。

クラシックやジャズに不勉強なぼくでも、いつもヨーヨー・マは気になる。
21世紀を節目にしてヨーヨー・マが手がけた『シルクロード・プロジェクト』は、
アジアの顔をしたアメリカ人である彼のアイデンティティ探しかもしれない。
音楽を通じて世界とつながるワクワク感がほとばしる素晴らしい内容でした。

ヨーヨー・マのシルクロード・アプローチを見ていると
大学の「ワークショップ」という手法がぼくにはしっくるくる。
サマースクール時期を利用して、
教授の研究テーマに沿ってテーマとゲストを選び、
学生が参加しながら道を極めていく。
ゲストは技を披露するだけでなく、
他のゲストとの交流で新しい価値観を育んだり、
若者に教えながらも、若者に教えられる。
違う意識を働かせられる。
そんな活発なワークショップに見えた。

以前、京都の大学から依頼されて
25周年記念事業を計画する際にも考えたことがある。
この大学では定期的に学外からゲストを招き、セミナーが開催されていた。
魅力的なゲストがたくさん招かれている。
それならセミナーで話を聞く、質疑応答するのパッケージを拡大し、
数日間の集中ワークショップを行い、在学生だけでなく、
一般人も参加できるようにしてみてはどうだろうかと考えた。
そのうえ、そのワークショップを拡大して、
大学のアネックス(別館)を都心に設置し、
社会人教育も視野に入れるプランだった。
そうそうたる個性的な教員陣を誇るこの大学を
より社会的にアピールするには、教員のもつ人脈を活用して、
在学生だけでなく、学外の一般陣にも知を開放する計画を提案した。
実現はしなかったが、今でもそのような知の活用は
隙あらば試みたいと思っている。

ヨーヨー・マのアプローチは、ワークショップという交流スタイルと、
豊かなアジアの文化・過去と現在をうまくつなぐ方法を考えさせられた。

Mohini (Enchantment)/Yo-Yo Ma;The Silk Road Ensemble

番組宣伝
イントロダクション
シルクロードへの想い
唐の時代の中国から21世紀へ
シルクロード・アンサンブルの理念1
Mentoring ~東西の音楽の融合~
シルクロード・アンサンブルの理念2
Communicating ~旅をして世界の人々と交流すること~
シルクロード・アンサンブルの理念3
Creating~ 「文化の大使」となり、創造的に音楽を創りだすこと~
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by mamorus7 | 2005-05-08 23:00 | 芸能


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